映画『結局珈琲』公開記念舞台挨拶が2月28日に新宿武蔵野館で行われ、本作で主演の藤原さくらが、山脇辰哉、日高七海、瀬戸璃子、東野良平、谷川てんちょ(こはぜ珈琲店主)、細井じゅん監督と共に登壇した。
本作は、下北沢に店を構える「こはぜ珈琲」の旧店舗を映画として残したいという店主・谷川隆次氏の思いをきっかけに制作された一作。喫茶店という場所を舞台に、そこに集う人々のささやかな日常を俯瞰で見つめながら、“終わり”と“始まり”を静かに描き出す。慣れ親しんだ風景が消え、新たな日常へと移ろっていく時間の流れを、柔らかなまなざしで切り取った物語。

藤原が演じるのは、仕事の休憩時間にひとりでこはぜ珈琲を訪れることをルーティンにしている常連客・青木。デビュー10周年を迎える藤原にとって、本作が映画初主演となる。もっとも、前半はセリフが少ない役どころだったこともあり、「これが主演なのかなという感じです」と照れ笑い。「あまり“主演”という実感がなかった」と率直な心境を明かした。
それでも青木という人物については、強い共感を覚えたという。「あまり喋らないですが、とてもお客さんに近い存在で、お客さんを代弁するような役だなと感じました」と語り、「私自身もわかる感情が、たくさん“青木”のなかに感じられました」と振り返る。友人からの誘いを断り続け、電話にも出ないが、決して孤独を望んでいるわけではない――そんな複雑な感情についても「誰かの話を聞いていたい、でも一人になりたいわけじゃない。その気持ちはすごく分かる」とし、「とても面白い役が初主演だったことはとてもうれしかった」と笑顔を見せた。

舞台挨拶では、こはぜ珈琲店主の谷川氏から藤原へサプライズで花束が贈られる一幕もあった。突然の演出に藤原は「ありがとうございます。うれしい!」と満面の笑み。「いま、こはぜ珈琲さんとの癒着がすごいんです」と冗談めかしながら、「ライブのグッズも、こはぜ珈琲さんとのブレンドを一緒に作らせていただいたり、本当にお世話になっています」と、店との深い縁に感謝を述べた。

物語の舞台となった下北沢の街について話が及ぶと、藤原はしみじみとした口調でこう語った。「私、本当に下北沢の街によく行くんですけれど、『あ、この店なくなっちゃったんだ』とか『ここってこういう風に変わったんだ』って、街並みがどんどん変化していく場所だなと思っていて」。さらに渋谷の再開発にも触れながら、「変わらないものって本当にないんだなと、“諸行無常”をすごく感じる」と、日常の移ろいへの思いを明かした。
その上で、「この作品はポップに諸行無常を描いています。終わった後に“何だったんだ”と思うかもしれない。でも、確かにすごく寂しかったりエモーショナルな気持ちが残る。日常が続いていくだけなんだということを描いている映画です」と、作品に込めたメッセージを送っていた。


映画『結局珈琲』
全国順次公開中
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
Ⓒ2025 こはぜ珈琲 メモリアル映画制作プロジェクト

