
第36回東京国際映画祭にて、『連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~』(WOWOW)の第3話『非常線の女』の舞台挨拶が10月31日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、キャストの前田敦子(32)と高良健吾(35)が松本優作監督とともに登壇した。
日本を代表する映画監督・小津安二郎の生誕120年を記念した本企画は、初期のサイレント6作品をWOWOWでリメイクするというもので、『非常線の女』は1933年公開の映画。当時29歳の小津が監督した和製ノワールで、田中絹代が演じる昼と夜の顔を持つ情婦が、不良ボクサーと暗黒街で生きる様子が描かれた。リメイク版では、前田が昼は歯科助手として働き夜は仲間たちと悪事に手を染める時子、高良はその同棲相手で元ボクサーの拓実を演じている。
小津作品のリメイクを打診された際の心境について、松本監督は「最初にお話をいただいた時は、自分でいいのだろうかと思い、迷いました。ただ作品を調べてみると、小津監督が『非常線の女』を撮ったのは29歳の時で、お話をいただいた時の自分と同い年で、これもご縁かなと思いました。またリメイクをさせていただくのも一生にないチャンスかと思い、やらせていただきました」と明かした。
撮影は7日間というルールの下で行われ、前田は「濃密な撮影で、幸福度は高かったんですけど、あまり記憶がない」と苦笑いし、高良も「僕もあんまり記憶がなくて、役としてずっとタバコを吸っていたというくらいです」と振り返った。それでも前田と高良は豊富な共演経験があり、前田は「共演者のみなさんが、どんどん高良さんに惚れていく姿を現場でいつも見ているんですけど、今回は高良さんのカッコよさがピカイチの作品で、それを間近で見つつ、尊敬する先輩ではあるんですけど、仲良くさせていただいているので、少しこっ恥ずかしかったです」と語った。高良は前田に対し「絶大の信頼感と安心感があって、心を許せる女優さんです」と全幅の信頼を寄せあっていた。
また、高良はボクサー役について「プライベートで3年くらいボクシングをやっていたので、やっと仕事に活きたなと思えました」と笑顔を見せた。
この日はハロウィンということで、ハロウィンに関する質問もあり、前田は「この間、子供のハロウィンをやってきました。子どもたちが仮装して、『トリック・オア・トリート!』と言ってお菓子をもらっていて、本当にかわいくて、幸せ空間でした」と母親の顔をのぞかせた。高良は「最後に仮装してハロウィンをしたのが幼稚園くらいの記憶しかない……。家でゆっくりが一番。渋谷には行かないかな」と笑いを誘った。
全6話の『連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~』は、WOWOWプライムで11月12日に放送・配信スタート。第3話『非常線の女』は26日に放送される。

