映画『誰よりもつよく抱きしめて』公開記念舞台挨拶が2月8日にTOHOシネマズ日比谷で行われ、W主演の三山凌輝、久保史緒里、共演のファン・チャンソン、永田凜、メガホンを取った内田英治監督が登壇した。
新堂冬樹の同名恋愛小説を映画化した本作は、強迫性障害による潔癖症を患う絵本作家・水島良城、恋人である良城の病気を理解しつつも自分に触れてくれない関係性に思い悩む書店員・桐本月菜、恋人と触れ合っても心が動かない男イ・ジェホンらの姿が描かれる。水島良城を三山、桐本月菜を久保、イ・ジェホンをチャンソン、月菜の親友・木内早智子を永田が演じている。

上映直後の舞台挨拶ということで、客席にはまだ泣き腫らした顔をしている人も。三山は「いまだに涙を流していらっしゃる方がいて、やっぱり登場が早かったかな。『もうちょっと余韻に浸りたいなかで、すぐに登場しやがって!』みたいな感じだと思いますが…(笑)。でも映画を見た後すぐのみなさんの率直な気持ちを、目の前で表情を見ることで感じることがたくさんあります。これほど生で映画を見た後のお客さんの顔を見ることもなかなかないことなので、みなさんの顔をしっかり拝んで帰りたいと思います」と笑顔を見せた。

久保は「撮影していたときから公開するまで、いろんな感情を抱えている人間たちがいっぱい出てくるので、どう受け取っていただけるんだろうと楽しみにしていたので、こんなにもたくさんの方に見ていただけて率直にうれしいなという気持ちです」と喜びを語った。

チャンソンは「去年撮影しましたが、日本の作品は9年ぶりでした。舞台挨拶は初めてですが、ここに入ってきたら皆さんの目が潤んでいて、『すごいな!』と思いました。(映画で演じた役と髪の)スタイリングが違うけど大丈夫かな?別人みたいな感じで、髪を切っちゃって、すみません(笑)」と苦笑いを浮かべつつも、映画を見終えたばかりの観客の反応をうれしそうに受け止めた。

役作りについて問われると、三山は「良城は強迫性障害を抱えているという役柄ではありましたが、病気だけに向き合うことは違うと考えたんです。そういう病気を持ってらっしゃる方が大勢いるのは間違いないんですけども、その苦しみ方や症状は本当に人それぞれ。僕は今回、水島良城という人間にフォーカスを当てて向き合うということを決めました。人間が人生を生きていくうえで、それぞれに葛藤だったり、その人にしかない悩みというものがあるということを伝えたいというのが作品のテーマでもありました」と明かした。

久保は「良城と月菜の関係性が、はじめからそうではなかったというのが大きいと思っています。ある日を境に“壁”ができたという意味では、いつ誰に起きるかわからないし、決して特別な話ではないし。触れられない壁以外に、いろんな壁が家族、恋人、友達同士の関係性のなかで、皆さんにもあるんだろうなと思って、自分だけがしんどい、つらいという思いにならないように、という気持ちで演じました」と撮影を振り返った。

永田は、現場で顔を合わせたのは久保とチャンソンだけだったそうで「クランクアップの日に、最後に三山さんと初めましてだったんですけど、こういう明るくて誰とでも『ウェーイ!』という感じの明るい方で。どういうふうに良城を演じられるのか気になっていたのですが、本当に繊細な演技で感動しました。久保さんとはプライベートでも仲良くさせてもらって、いろんな話をするなかで、人間としてもリスペクトしていますし、演技の部分で勉強させていただくところもたくさんありました。チャンソンさんは現場ですごく紳士で、レディファーストで、久保さんと2人で『優しい!』って騒いでいました」と3人の素敵なところを楽しげに語った。

イベント終盤には、本作のタイトルにちなんで「いま、誰よりもつよく願っていること。かなえたいこと」を聞かれると、久保は「人見知り説が浸透してきてしまっていますが、本当はそんなことはなくて。チャンソンさんからの『逃げるな』という言葉を大事にして生きていきたいです(笑)」と伝え、永田は「今年の目標『冒険してみる』で、旅行に行ったり、遠出もそうだけど、『自分から動いてみる』というチャレンジをしようと思っています」と力強く宣言。チャンソンは「日常をちゃんと過ごそうと思っています。今現在の1日をちゃんと過ごすためにはどうすればいいのか考えたんですが、それは“この映画を観ること”だと。観てください」と観客に呼びかけた。



最後に三山は「チャンソンとは、人として根底にある思いやビジョンの描き方がすごく似ていて、ある種、鏡を見てるようでリスペクトしてるし敬愛しています。今年26歳になるんですけど、ひとりの人間としてフェーズが進んでいく歳になると思っています。チャンソンも言っていたように、今があって、今をどう生きるか?それを大切にするからこそ未来も考えられると思うので、その両方のバランスを意識して生きていこうと思っています。じゃあそういった意識をどうやったらできるのか?と思ったときに、昨日公開した『誰よりもつよく抱きしめて』っていう映画があるなと思って…。『誰よりもつよく抱きしめて』を観ると、人間の感情が揺さぶられて『私もこういう気持ちあったんじゃないか?』とか『こんなモヤモヤする気持ちあるな』とか『でも好きな人にはこうしたい』『僕はこう愛されたい』と、そんな人間の感情が行き交う素晴らしい映画になっています。『誰よりもつよく抱きしめて』が公開されました! よろしくお願いします!」とラップ調でシャウトするように客席に向かって力強く呼びかけると、客席からは温かい拍手がわき起こった。


映画『誰よりもつよく抱きしめて』
全国公開中
配給:アークエンタテインメント
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